獣医学雑誌のCAP(Companion Animal Practice/株式会社 緑書房/東京)2025年5月1日号に掲載されました。
今回で最終回になります。内容は『ここからはじめる! 産科のファーストステップ 第10回 新生子の管理と疾患』です。
著者は小嶋佳彦(新潟ねこの病院院長/ヤマザキ動物看護大学客員教授) 監修は筒井敏彦先生(国際小動物繁殖研究所/日本獣医生命科学大学名誉教授)です。
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上記は原稿の一部 2025年5月1日号
前回の4月号でも記載しましたが、最近では飼い主さんが自宅で雌雄を飼育し、子供を産ませる(産子を得る)ということは少なくなってきました。
授乳中の母親の乳頭 この母親は5頭出産しました。乳頭も5頭が授乳した形跡がありますが、右上の乳頭はほかの乳頭に比べて小さいですが、これは5頭生まれて、そのうちの1頭は途中で死亡したためです。ここは死亡した新生子が授乳していたところです。
猫の乳頭は8個あります。左右4個という意味です(参考までに犬は10個です・左右5個)。経験的に強い新生子が一番下のほうの乳首を独占し、授乳する傾向があります。
個体識別のため色違いの首輪をつけている(右側がタロ君・左側がジロ君。22年前の写真)タロとジロを飼い主さんからいただいて私と一緒に生活していました。さぶ吉とも10年くらい一緒でした。
段ボールの箱に入って診察にきました。
過去の不妊手術のデータ
話題は変わりますが、私が過去に行った猫の不妊手術のデータを紹介いたします。実際に不妊手術を行っていても飼い主さんが不特定の場合、生年月日が不明な猫および雄猫はデータとしては除外してあります。
データは1989年~2004年までの16年間です。なお、上記からデータとしては862頭は飼い猫です。
862頭中、和猫*は822頭(95.4%)、純粋種40頭(4.6%)です。この時代は純粋種は少なかったですね。
*日本猫・雑種というような呼び方から、最近では和猫(わねこ)というような表現がでてきました。この呼び名のほうがしっくりくるように思いますね。
飼い主さんの猫の不妊手術の目的としては、いわゆる不妊目的が825頭(95.7%)。生殖器や繁殖関連の病気のため仕方なく、本意ではない不妊手術が37頭(4.3%)でした。
驚くことに862頭中、妊娠中のものが208頭(24.0%)、つまり約4頭に1頭が妊娠していたことになります。このころの猫は室内外自由でしたので、こういうデータになったのだと思います。
猫の繁殖生理学的なデータはたくさん持っているのですが、わかりやすいのはこのあたりだと思いますので報告しました。
詳細は今年の『ねこの集会』で報告予定です。